Making TASSANIC WORKS

ある「楽器吹き」の物語

スライディング!

さあ、本格野球物語の始まりです。
舞台は桜舞う城下町。
制球に苦しむ私を救ったのは、KUWATA―。

―嘘です(笑)今回も話題は楽器関係である。
タイトルに「スライド」とあるように、トロンボーンのスライドのことについて少し。
ちなみに、スライドの動きについて言う場合は「スライドテクニック」というのが一般的なようだ。

私は『PIPERS』という雑誌を毎月購入しているが、今回の記事に「スライド・テクニックについて考える」というものがあった。少し引用してみる。
「スライドの持ち方は、棒(支柱)を指先できちんと持ち、指ができるだけ棒から離れないように。棒をポジションに持っていくようにする。」
写真付きで紹介されていたのだが…あれ、私の持ち方が微妙に違う。
さらに、動かし方についても触れられていた。
「肘を起点にして腕を曲げ伸ばしする動きだけでよい。」
私の場合、スピードを求めるあまり手首まで動かしてしまっていた。
…軽く読んだだけでも、多くの発見があるものだ。

ただ、スライドテクニックに関しては本当に人によって千差万別である。
持ち方もそうだし、動かし方も「手首を使え」と教える人もいるようだ。記事を担当したプロの奏者も触れていた。
身近な例だと、楽団のメンバー3人が全く違う持ち方をしている事が先日判明したくらいである(笑)
今後研究してみたい。

あと、KUWATA にも触れておく。
正式にはSL-KUWATA SP という型式で、これはヤマハのシグネチャーモデルのマウスピースである。
音のコントロールに苦しんでいた私が、数年前に購入したもの。
個人的な感想だが、さすがにプロ用というだけあって、コントロール性は抜群。
ただし、ある程度しっかり吹かないとその魅力を発揮できない部分もある。
たとえば、奏者の息が足りないと音も薄いという具合に。

さて、それでは練習しますか。
もちろん、スライドの動きと息の流れを確認しながら。

2016成人式!

日曜日は、成人式に出席することとなった。
もちろん、年齢を偽って潜入するのではない(笑)
前回の記事で書いた通り、我々の楽団は毎年演奏の依頼を受けているのだ。
さて、今年はどうか。

今回のメンバーは20人前後。
年初めであることもそうだが、やはり、アンサンブルコンテストの県大会当日であり、そちらに出場するメンバーが欠けてしまうのだ。
こういう状況だと、色々なパートが不可能を可能に…欠けているパートの音を吹き足すこととなる。
ユーフォニアムパートでは、パーカッションの手伝いをする者までいた程だ。
一方、我がトロンボーンパートでは…3人しかいないので自分のパートを全力で吹くこととなった。

簡単にリハーサルを終えて、いざ、スタンバイ。しかし…いつまでたっても本番が始まらない
どうやら、我々の担当が時間を15分ほど間違えていたらしい(笑)
気を取り直して、第一の舞台、ミニコンサートを開始。
名司会にも助けられ、無事に終えることができた。

ミニコンサートが終われば、次は式典演奏だ。
だが今回、すぐ近くにマナーの悪い奴らが居やがる…。
式が始まっても黙らず、係員の制止も聞かない…。
しかもそいつら、国家の歌いだしのタイミングを間違えるなどというマネまでやらかしおった。
態度が悪い上に、演奏者の心理まで乱しにかかるとは…全く、嘆かわしい!
まあ、世間には勝手に壇上に上がって暴れる奴もいるようだから、そいつらに比べればマシなのかもしれないが…演奏自体は何とかなったが、若干モヤモヤした気分を抱えることとなった。

今回は、どうも文体が年寄りくさくなってしまった。
まあ、楽団に入団してはや7年というところだから、年をとるのも当たり前か…いや、心だけでも若くありたい(笑)
ちなみに、大多数の成人たちはマナーも良く、エレベータを降りる際の扉を抑えてくれた人に礼を言って立ち去る者もいたという事を追記して、今回の話を終えることとする。

2016初練習!

みなさま、お久しぶりです。
相変わらず趣味人としての人生を謳歌しております。
正月早々、マザーボードを衝動買いしたり、その勢いでパソコンを自作したり…って、楽器はどうした!?
安心してください、吹いてますよ!(笑)
トロンボーンパートに出向してから幾星霜…という感じではあるが。
とりあえず、久しぶりに書きたくなったので書いてみる…パソコンの動作テストを兼ねながら。

さあ、待ちに待った練習…なのに最初から練習会場を間違えそうになる(笑)
しかも、風邪まで引いているというなかなかのバッドコンディションである。
楽器の方はどうか…そちらは問題無さそうだ。
年末の練習終了後、念入りにスライドを拭いておいたからな。
ちなみに、これを怠るとスライドクリームやオイルが固まってしまうことがあるらしい。気を付けなければ。

今回の練習は、とある市で行われる成人式の依頼演奏のためだ。
式開始前のミニコンサートと、式典内での伴奏を担当することになる。
ありがたいことに、毎年依頼を受けているので…出身地の市民の歌を知らなくても、そこの市民の歌は歌えるという事態に陥ってしまった(笑)

さて、合奏開始となった訳だが、いきなり予定外の曲が入る。
それは、『千本桜』。言わずと知れた、ボーカロイドのための曲である。
もし演奏できれば、新成人には大ウケだろう。
だがこの曲、なかなかのアップテンポというかハイテンポというか…とにかく早い。
演歌歌手なら歌えても、スライドには少々堪える。
案の定、採用は見送りとなってしまった。まあ、ピストン楽器でも結構ギリギリなのだから仕方が無い。

何曲かミニコンサートの曲を練習したら、次は式典の曲。
全体に気が抜けないが、特にプレッシャーを感じるのが国歌
ミスや音のブレは一発で分かってしまう。慎重に、丁寧に。

そんなこんなで、今年最初の練習は無事終了。
ウォーミングアップというには消耗が激しかったのは、体調不良のせいか、千本桜のせいか(笑)
日曜日が本番なので、せめて体調だけでも回復させたいところだ。

今年はいろいろ書く予定。
これからも、よろしくお願いします。

SACD!

どうも、お久しぶりです。
久々に復帰してこのタイトルだと、まるで吹く方から聴く方に転向したかのようだ(笑)
大丈夫、私は今も楽器吹きとして活動中だ。
…相変わらずトロンボーンパートに出向中の身ではあるが。

今回は、SACD(スーパーオーディオCD)に興味を持った私が、それに対応したプレーヤーを捜し求める話。
SACDとは、簡単に言えば、我々が普段聞いているCDの音源に対して、より元音に近い音を再生できるCDである。
同じCDメディアでも規格が異なるため、専用のプレーヤーが必要になるわけだ。
うっかりオーディオ雑誌を読んでしまった私だったが、まずその値段に絶望する羽目に(笑)
アンプやらスピーカーやらとなると、気が遠い…。

しかし、さらに調査した結果、比較的安価にSACD音源を楽しむ方法を発見する。
それは、SACD再生対応のブルーレイディスクプレーヤーを入手すること。
手元にBDプレーヤーが無いので、私にとっては一石二鳥である。
狙ったのは、Pioneer の製品。だが、狙った型式がメーカー直販サイトでは在庫切れ。
急遽、近くの電気屋2件を調査することとなった。

まずは、Y電機に突撃。だが、店頭にその型式が展示されていない…。
とりあえず店員さんに聞いてみる。だが、どうも応対が良くない。
しかも、取り寄せだから割引できないという始末…駄目だこりゃ(笑)
次に、K 電気に突撃。実は、こっちが本命。
前日の調査により、店頭に1台だけあることが分かっている。
頼む、残っていてくれ…あった!
心を落ち着けて、店員さんと対峙。なぜならば…値引きという死闘を演じるためだ(笑)
もちろん、Y電機で提示された値段を言うのも忘れない。
電卓の動きを見る限り、店員さんも相当苦悩したようだが…おかげで値札より2割近く割引してもらった。
(ちなみに、ケーブルが足りなくなったのでK電気には3日連続で乗り込む羽目になった…。)

次は、音源の用意だ。手元のCDを調べてみたところ、SACD形式の音源は無かった。
そこで、Amazonの出番である(笑)
音源については、私が読んだ雑誌でも触れられていたので、早速入手。
そのタイトルは『Pure』。
詳しくは書かないが、一部の好事家のみならず、本格のオーディオマニアをも唸らせた代物らしい。
だが、ジャケットが…好みが分かれるデザインとなっている(笑)
その出自を考慮すれば致し方ない部分ではあるのだが…。

早速聴いてみる。効果を体感するためには、高級なオーディオシステムが必要かと思われたが…私の適当オーディオシステムでも十分に違いは感じられた。
説明が難しい感覚ではあるが、一言で言えば、普段の音から角が取れた感じの音になっている。
これでこそ…衝動買いした価値があるというもの(笑)
他の音源も楽しみだ。実は…まだ手元にBDソフトが無かったりするしな。

ちなみに、現在の私のAV機器構成は以下のとおり。もっとも、本格の方々から見ればオーディオシステムとは呼べない代物ではあると思うが(笑)

○プレーヤー
 ・自作PC(一応静音タイプ)+ iTunes
 ・Pioneer Blu-ray Disc PLAYER BDP-160-k(←新規追加)
○スピーカー(?)
 ・BOSE Wave Music System
○ヘッドホン
 ・PHONON SMB-02 DS-DAC EDITION
○モニター(TV)
 ・SHARP LC-24K7

アンプが無いとか、USB-DACが無いとか突っ込まないでほしい(笑)
あと、ケーブル類は Victor・JVC で統一してある。(書く必要があるか微妙だ…。)

任務!

「こちら Tassanic―聞こえるか?」
「良好だ、Tassanic ―。」
今回の私の任務は、ある基地に潜入し、団長を護衛すること。
しかしこれは、まだ始まりに過ぎない―。

…というような、わかる人にはわかる冗談で久しぶりに記事を書き始めてみる(笑)
理由は特に無い。ただ、書いてみたくなっただけだ―。
今日の舞台は、青年会議所の式典における演奏。
ある基地内の格納庫が会場だったため、立ち入ったのは事実。
もちろん、ゲートで手荷物検査を受けて。
団長の護衛はウソだが、行き帰りの送迎を引き受けたのも事実だ。

今回も私はトロンボーンで出演。助っ人稼業も、だいぶ長いものとなってきた。
最近では、見学に来ていた大学生が正式に入団したりと、パート内に新しい風が吹きつつある。
それもあって、ユーフォニアムのパートリーダーに復帰の話を持ちかけてみたが―。
「まだいいよ(笑)」…帰還への道は遠い―。
そんなことを思い出しながら、ふと、ユーフォニアムパートの方を眺めてみる。
そこには、光り輝く金ベルがあるはずなのだが―バカな、ピンクのベルだと―?
よく見ると、それは何かのカバーのように見える。
トロンボーンの新入団員も、気になったらしい。
「それはベルのカバーですか?」
「いいでしょ、これ〜。」
「そんなピッタリのカバーがあるんですね。」
パートリーダーが語る、その驚愕の正体とは―!
「これ、ヘアキャップ。」―何と(笑)
しかも、2枚重ねで使用。これで、ベルを下向きにして楽器を置いても傷が付かないか。
確かに名案だ。採用したいところだが、短髪の私がどうやって買うのか…ネットか!?

さて、肝心の演奏の方は、もちろん―何とかしてやったぜ(笑)
演奏では大きな問題が生じなかったようだが…司会進行は色々と事故が発生していたな。
…団長の名前が間違えられたりとか(笑)

今回はこんなところか。徐々に体を慣らして…本編の方も執筆したいからな。

冬はつとめて

更新をサボりすぎていたので、軽く今年一年でも振り返ってみようと思う。久しぶりなのと、桜舞う城下町…今は雪が舞っている実家に帰省中で、携帯電話による更新のため多少読みにくいかもしれないがお許し頂きたい。

先日、ツイッターで「今年のあなたを振り返る単語」という感じの診断を見かけたのでやってみた。
その結果は…「試練」。まさに、そんな感じの一年だったのだ。

まずは仕事。世を忍ぶ仮の姿とはいえ、疎かにする訳には行かない。しかし、春と秋におよそ80日、合計すると一年の内160日も出張するとは思わなかった。
お陰で「ソロ死闘編」は構想変更を余儀なくされ…お蔵入り(笑)
「トロンボーン放浪編(仮)」も構想変更…現実世界において尻切れトンボというやつを演出する羽目になるとは思わなかったぜ。

さて、肝心の楽器の話。上でチラッと触れたが、今はトロンボーンに出向中。
春の出張から戻った時に、ユーフォニアムパートから追放…というのは冗談で(笑)「トロンボーンのメンバーが足りないので、やってくれないか」という打診が団長からあり…急遽助っ人する事に。
コンクールを無事に乗り越え、次の舞台を目指した矢先、また出張。年間160日も楽器から離れるという、楽器吹き失格な事態に(笑)
その後戻った時には「こりゃ次は楽団追放だな(笑)」という不安が頭をよぎったものの、そんな事は無く、暖かく向かえてくれた楽団メンバーに感謝。
「これからまた、皆さんと一緒に演奏できます。」
「え〜〜っ(笑)」
…という寸劇をパートリーダーと演じる羽目になったのはご愛嬌(笑)

メンバーたちの歓迎は凄まじく…。
「あるプロの人がトロンボーンを手放す予定なんだけど、トロンボーンパートの皆さん、どうですか?」
「Tassanic、出番ですよ。」
「Tassanicだな(笑)」
…YEP-842Sの時もこうだったような(笑)
しかも、まるで口車に乗せられたかのようにあっさりと購入を決断する私。年末なのに何やってやがる(笑)
とはいえ、160日も出張したお陰で資金は全く問題が無いのであった。

という訳で、2013年の私の目標は「二天一流」。ユーフォニアム吹き、トロンボーン吹きとして頑張って行く所存であります。
物語の方は、近日再開予定。YEP-842Sを振り返るか、トロンボーンを語るか…請うご期待!

無限加速!

創作に携わる者は、走り続けなければいけないのだろうか―。
やはり、そうなのだろう。立ち止まってしまったら、何も生み出せないのだから―。

先日、ウチの楽団にてある楽譜が配布された。
それは、とても素敵で、ちょっと風変わりなマーチ。
変拍子があったり、トロンボーンの 1st よりも 2nd の方がスライドワークが大変な部分があったり…なかなか奏者にとって挑戦的な曲でもある。
この作品、どうやら、地元出身の作曲家の手によるものらしい。
私の住んでいる街から、そんな人が出ているとは…しかも、聞くところによると私と同い年(アラサーです)…すごい話だ。

さて、今回はその作曲家さんを迎えることとなった。
楽譜が配布された時点から実際の演奏を聴かせたいという話があったが、それが実現した形だ。
その方と同行していた、プロのファゴット奏者さんも合奏に参加することとなった。
早速、合奏開始。―ファゴットさん、さすがです。ウチの指揮者もご満悦の様子である。
この曲は、油断していると置いていかれる。音をロックオンするように、特に、弱起の音に注意して吹いていく。
要所要所で区切り、指揮者が作曲家さんに意見を求める。
作曲家さん、音の長さの根拠、フレーズの流れなどについて丁寧に受け答えする。
その言葉の端々に、自作への情熱、そして音楽への情熱が感じられる。―我々も、応えなければ。
結果として、なかなか有意義な合奏となった。

終了後はやっぱり飲み会。地元のためか、作曲家さんは饒舌である。
場の話題が吹奏楽コンクールの課題曲になってきたとき、こういう一幕があった。
作曲家さん、この地区が地元なだけあり、ウチの楽団に知り合いが何人かいるようだ。
どうやら、ウチのユーフォニアムのパートリーダーと同じ高校にいたらしい。色々語っていたが、特にこの一節が耳に残った。
「彼女はスタープレーヤーだった。特に、『道祖神の詩』のソロは素晴らしかった―。」

『道祖神の詩』…だと!?私は、あることを思い出した―。
それは、私が高校生だった時の話。当時の吹奏楽部顧問が、こう言った。
「この曲にはユーフォニアムのソロがあるのだが、吹けるか?」
私は一瞬迷い、そして…
「さすがにコンクールでは、危ないかもしれません…。」
…ああ、今の私では考えられないヘタレっぷり。
それを聞いた顧問、「じゃあ別な曲にするか。」
―私の高校時代、三大敗北の内の一つである。
当時、私はまだパートリーダーには出会っていない。
しかし、間接的にではあるが…このエピソードによって黒星が一つ増えたか…?(笑)




さて、長らく放置状態であった『放浪記』。
色々と書いてみたいエピソードが出てきたので、そちらから書き進めてみる事にする。
せっかくいい刺激を受けたのだ。私も、走り出さなくては―。
以下予告。そのタイトルは―。

YEP-842S放浪記 復活編

―バカな!?私がトロンボーンだと!?
新たなるパートで、繰り広げられる激闘!
そして、Tassanic はユーフォニアムパートに戻れるのか!?
乞うご期待!!

Tassanic、中学校へ行く。(後編)

演奏技術指導のため、ある中学校に訪れた私。
メンバーと打ち合わせの結果、トロンボーン、ユーフォニアム、テューバの3パートをまとめて受け持つこととなった。

今回の主な目的は、『吹奏楽のための民話』を無事に演奏できるようにすること。
時間はおよそ2時間。音出し、チューニングを簡単に済ませ、早速曲に取り組んでいく。
この曲は、金管楽器郡のサウンドで始まる。今回受け持った3パートが同じ動きをするので、指導する側としてはやりやすい。
だが、一見初心者向けのベーシックなこの曲には冒頭から罠が潜んでいる。案の定、生徒たちは引っかかっていた。
金管郡は最初のフレーズを2回繰り返すのだが、このフレーズが微妙に違うのだ。
ある程度経験を積んだ奏者にとっては難しくはないが、初心者を含む中学生では難しい部分であろう。
そのフレーズの違いがこの曲の面白さであり、しっかり理解して吹き分ける必要があることを伝える。

最初の部分を通過したところで、早くも、ユーフォニアム吹きにとって最大の見せ場が訪れる。
クラリネット、テナーサックスと一緒に奏でる、あのメロディーだ。
表現と言う意味では、おそらく、プロの人でも腕前が問われる部分ではないだろうか。
まずは、スラーの位置に気を付ける、付点8分音符と16分音符の組み合わせの処理などのポイントを解説していく。
しかし、しゃべるだけでは完全には伝わらない。
やはり、手本が必要だ―だが、手元にあるのはトロンボーン。
何とかしてやった…が、やはり、限界がある。特に、スライドでは肝心のスラーの表現ができないのだ。
このままでは、指導に来た意味が無い。少し早いが、休憩を入れることにする。
そして、私は自分の車に向かって走った―。

練習場所に戻った私は、早速「それ」を取り出した。
その楽器は、見る人でさえ魅了してしまうのだろうか―。生徒たちから、思わずといった感じの声が漏れる。
そう、YEP-842S である。万が一のためにと、出発直前に車に積み込んでいたのだ。
しかし、最近はトロンボーンばかり吹いている。久しぶりのユーフォニアムだが、いけるのか!?
―自分でもびっくりする程にいいチューニングB♭が出た。よし、これなら、手本になる。
何とかしてやったぜ。ただし、楽譜をよく見たらスラーの位置が自分の記憶と違ったり…やはりこの曲、油断できない(笑)
油断と言えば、この難所を無事に突破したあとでテンポが乱れる人が何人か見受けられた。一つのフレーズが終わってもテンポは確実にキープするように伝える。

そして、音楽はテンポを落とし、曲調が緩やかなものとなる。
ここで重要なのは、木管郡とのメロディーの受け渡し。各パートの役割を考えて吹くこととあわせて伝えると、音楽の流れが劇的に良くなった。
ふと、トロンボーンを眺めて見ると、スライドが止まっている。楽譜を見てみると、案の定ポジションを間違えてメモしていたので、修正させる。
それと合わせて、できる限り一緒に演奏するようにした…おかげで、トロンボーンとユーフォニアムを忙しく持ち換える羽目になったが(笑)

音楽が一時盛り上がり、また静かになる部分。
この辺りで、トロンボーンのスライド操作がきつくなる。できる限り素早く動かすこと、最悪の場合は音が出なくてもスライド操作をあきらめないことを伝える。
流れるようなメロディーから、リズミカルなパートへ。
このリズムは、音楽を進めていく上で重要なので、テンポを保って演奏するように伝える。
そろそろ休憩が必要な時間かと思われたが、生徒たちは「大丈夫です、いけます」との事。そのまま再現部に突入していく。
ここまで指摘したことに気を付けながら、最後まで駆け抜けてゆく…。何とか、時間内に曲を網羅することができた。

各パートでの練習終了後のこと。楽団のメンバーから声をかけられた。
「Tassanic のところでは、どんな指導をしたの?明らかに音が良くなっているんだけれど。」
私がやったことは、簡単にポイントを指摘したり、要所要所で一緒に吹いたりしたくらいだと思っていたが…意外に効果があったようだ。
後は、3パート全体に目を配るようにしたことも功を奏したのだろう。特にテューバは比較的吹けていたので、他の2パートに比べて指導が薄くなってしまう可能性もあったからな。
そして、できる限り曲中における各パートの役割を伝えたことで、各人がどう吹くべきかイメージしやすくなったのかもしれない。
いずれにせよ、今回の訪問指導を無事に終えることができた。


―それにしても、今回の生徒たちはかなり貴重な体験をしたのではないだろうか。
ユーフォニアムとトロンボーンを両方持ってくる指導者なんて滅多にいないだろうから(笑)

Tassanic、中学校へ行く。(前編)

先日、ある中学校に行ってきた。場所は、今の住処の近くである(母校ではない)。
目的は、演奏技術の指導である。特にコンクールで『吹奏楽のための民話』(J.A.コウディル)を演奏するので見てほしいとの事だ。
ウチの楽団からは、クラリネット、サックス、トランペット、パーカッション、そして私の5人が参加した。
ちなみに私は現在、ある事情によりトロンボーンを吹いている。
よって、私はトロンボーン、ユーフォニアム、テューバの3パートをまとめて指導することとなった。

私が指導に出向いたとき、まず、真っ先にやることがある。
それは、マウスピースを楽器から取り外して凹みの確認をさせること。凹みがある場合は、間違いなく音質に問題が生じるからだ。
全員に、マウスピースは大事に扱う、特に落とさないようにと注意を促す。
そして、凹みがある場合はすぐに楽器屋さんにお願いして直してもらうこと、直すにはそれほどお金がかからないことを伝える。
ちなみに、私がかつてお願いしたときには100円で直してもらえたし、音質も劇的に向上したということがあった。

次はチューニング。B♭の音を吹かせてみる。実は、この時点でだいたいの人の問題点が見えるのだ。
今回の生徒さんはどうか。テューバの1人は問題なく音が出せている。
トロンボーンの2人…まず、姿勢が悪いな。猫背はダメだ…とりあえず、背筋を伸ばすよう伝える。
(厳密には、伸ばしすぎて固まるようだとマズイのだが、簡易的にはこれでいけると判断。)
少し、音質が向上。一人は初心者のためか、チューニングB♭の時点で少してこずっていたが…こればっかりはすぐにはどうしようもない。練習あるのみだ。
そして、ユーフォニアムの2人を見る。1人、明らかに楽器の持ち方がおかしい。
左手を、マウスパイプの下側にかけているのだ。本来はその反対側(楕円の向こう側)を持つのが正しいのだが…。私はこう言った。
「3番ピストンのパイプを持ってみたらどう?」
小柄な人だと手が届かない場合もあるのでその位置にしたのだが、やけにやりにくそうだ。
姿勢を変えるときも、楽器を落としそうになっていたのに違和感を感じたのだ。
その左手を見て、私は、ある事実に気が付く。落ち着いて、こう言った。
「君は、元の位置の方が良さそうだね。」
―私は、このようなケースに遭遇するのは楽器人生で始めてである。おそらく彼は、左手が若干不自由なのだ。これは推測だが、指に力を入れられない場合があるのではないか。
だからこそ、後輩が太管でサイドアクションの楽器を使い、彼自身は YEP-321 を使うことで対応しているのだと。
もし私が、「それじゃダメだ」などと言っていたのなら、少なからず彼を傷つけてしまっただろう。
否定するのではなく、より良い方法を示す。その心がけが、図らずもお互いを救うこととなった―。

もう一度全体でチューニングをし、いよいよ『吹奏楽のための民話』に取り組んでいく…といったところで、長くなりそうなので残りは後編、ということにする。

続く

久しぶり!

久しぶりの投稿である。お待たせしてしまってすまない。
正月からずいぶん時間が経ってしまったが、とりあえず、私は無事に楽器を吹き続けている。
もっとも、3〜4月は出張のため楽団を長期離脱する羽目にはなるのだが…。
(今回の作品は、出先よりお送りいたします。)
さて、それでは先日のイベントの話でもしようか。

そのイベントの名は「市民バンドブラスフェスタ」。「バンフェス」の略称で知られる、県内の主だった吹奏楽団が一堂に会するイベントである。
今回は、ウチの楽団が主管、つまり、イベントのまとめ役となっているため、演奏以外の仕事も忙しい。
前日まで予定外の出張に行っていたため、私はどうも準備不足のまま挑むこととなった。

今回の舞台のテーマは「ソリストたちの競演」。各団体のプログラムを、協奏曲を中心に組むと言う…こんな無茶な企画、よく通ったな(笑)
ウチの楽団からは、2人の副団長(およびパート)が挑むこととなった。
あれ、私のソロはどうなったかって?私の「死闘」は、少し前に終わったのだ(執筆中)。
裏からソリストを支えるのも、それはそれで面白い。
また、曲がりなりにも自分で協奏曲を経験した分、ソリストの呼吸を掴みやすくなっている事に気が付いた。

さて、本番は準備不足であろうと準備万端であろうとやってくる。
しかし、楽器を握って舞台に立ってしまえば…私はしっかりと戦闘態勢に入っていた。
いよいよ、一曲目が始まる…行くぜ。
次の曲は、ミュートアクションもある。団長から「次の曲はミュート外す」などと言う指示も飛ぶ…どうもミュートの扱いは慣れない(笑)
それでも、無事に舞台を終えることが出来た。

そして、今回のイベントのもう一つの目玉は、全団体の奏者による200人規模の合同演奏である。
我々は主管であるため、舞台セッティングからやらなければならない。
私は大きな係は割り当てられていなかったが…やけに動き回る羽目になった。あれほど白熱した現場はそうそう無いであろう(笑)
椅子、譜面台を配置したら奏者入場なのだが、入っていかない。案内役は、まだ準備中。私は叫んだ。
「トロンボーン、ゴー!!」
「ユーフォニアムセカンド。ゴー!!」
もはや日本語と英語の区別がつかない…というか、どっちだったか覚えていない(笑)
入場完了。指揮者、構える。…行くぜ!!
我々の奮闘は、どうやら報われたようだ。その演奏は、とても充実したものとなった―。

本番終了後の打ち上げは常識。
今回は、懇親会と銘打ったそれなりに本格的なものであった。
座席はくじ引きで決定されることとなった。これは、少しでも各団体が上手く散らばるようにして、お互いの交流を深められるようにという計らいによるものだ。
乾杯の後、会場がにぎやかになる。私も、同じ卓の人と会話していたのだが…。
「ウチの団に来ないか?」
―おいおい、ヘッドバッティングかよ!?…間違えた、ヘッドハンティングだな。
現場で実際にしゃべってしまい笑われたのはいい思い出だ(笑)
余興で馬鹿騒ぎをしたり、それなりに飲んだりして酔いが回ってきた頃、ある女性に話しかけられた。それは、桜舞う城下町のユーフォニアム奏者。
「今日はやっと Tassanic に挨拶することができた。」
彼女は YAMAHA YEP-642S の使い手。バリ・テューバのイベントで顔を合わせたことはあったが、隣で吹いたことが無いため、実際の実力は私にとっては未知数であった。…是非とも、直接対決(?)を挑みたいものだが…。
そんなことは今考えても意味が無いので普通に会話していたのだが、それは突然中断されることとなる―。
「何してんの?」
何と、ウチのパートリーダーが乱入してきた(笑)しかも、何やら語りだしたぞ。
「Tassanic に何か頼みごとをするときは、パートリーダーである私を通してからにしなさい。」
―おいおい、酔ってんな、と思いながら2人を眺めているうちに、どうやら私もボーっとしてきた―。

…うむ?目の前にいる可愛らしい女性たちは何者だ?何だか、無性にその間に飛び込みたくなってきたぞ…。

―これはまずい。私は、咄嗟に右腕を構えた。
私は、楽器を構えていないときでも右手を構える癖の持ち主だが、その理由は2つある。
一つは、楽器演奏のイメージトレーニング。もう一つは、メンタル面を落ち着かせるため。
私は、楽器を演奏するときには、自分が楽器を吹いている間は無敵であると思い込ませて挑むことにしている。
演奏以外で右手を構えるのは、楽器を握っていないとき、少しでもメンタル面を「無敵の」状態に近づけるため―。
しかし、これが酔っ払いの情けなさか、指を曲げることが出来なかったようだ。
そうしたら、どうやら2人、何か勘違いしたらしい。
「もう帰るの?」
とりあえず、無事離脱…で良かったのだろうか?(笑)

さて、次の「対決」はあったとしても2ヶ月後だな。
それまでは…書き残した「死闘」や「放浪記」について書いてみるか。
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