今週の火曜日は、少し遅れて練習に参加することとなった。
当然、合奏が始まっているものと思ったが…まだ始まっていないようだ。
何より、指揮者が楽器を吹いていらっしゃる。

前にも書いたことがあったと思うが、ウチの指揮者はユーフォニアム吹きである。
ブージーアンドホークスの楽器を所有しているのだが…何やら、色合いが違う?
…いかんな、もっと「楽器吹き」らしいコメントをしなくては(笑)
音色がいつもと違うように感じたので、確認しようとする。
「Tassanic、これ642S。」
―何っ、YEP-642Sだと?まさか、買ったのか?
そうだとすると、ウチの楽団で新しくユーフォニアムを購入したのはこれで4人目ということになる。
ウィルソンに端を発する楽器戦争も、ここまで来たか…いかん、暴走しすぎた(笑)
「この楽器はしばらく使われないから、借りててもいいよって言われてるんだ。」
―なんだ、そういうことか。
冷静になって楽器を見てみる。やけにきれいな楽器である。
指揮者が「吹きやすい」と言っていた点も気になった。―まさか、「Neo」じゃないだろうな?

Neo シリーズは、ヤマハが最近発表した楽器の一群であり、ユーフォニアムの外には、テューバとアルトホルンがある。
近年のブラス(金管)バンドに求められる音色と、適度な抵抗感による扱いやすさを求めた代物であるようだ。
もしそれならば、俄然興味が沸いてくるのだが…。
刻印は「YAMAHA」のみであり、旧来の製品であることが確認された。
しかし、YEP-642Sに出会うのは大学以来である。懐かしい…。

快く貸してもらったので、吹いてみる。確かに、吹きやすい楽器である。
肝心の音色だが、YEP-321S の延長線上にあって一回り上質な音がするといったところか。
842S に対しても同じ感想を述べたことがあるが、642S の方がより 321S に近い印象を感じた。
実際、音色が素直で、こちらの方が好みだという人も結構いるのである。
楽器の特性としては 842S と比較しても遜色は無いのだが…一つだけ弱点がある。
それは、ハンドレスト(右手の親指をかけて楽器を持つ部分)がピストンに対して遠いこと。
どうやら、海外の奏者が開発に携わったため、体格の差があまり考慮されていなかったのではないかという説がある。私も、指はあまり長くないので扱うときは苦労しそうである。

ここまで楽器について長々と語ってきたが、私が一番感じたことは別なところにあった。
それは、自分が楽器の型式による違いを瞬時に理解できるようになっていたことだ。
実は大学時代にも、先輩2名が所有する YEP-642S と 842S を試奏したことがあるのだが、そのときはどちらに対してもあまり魅力を感じなかったのだ。
吹奏楽活動を再開するに当たり、YEP-321S を選択したのはそういう理由もあったのだが…。
しかし、自分で 842S を所有したり、ベッソンやウィルソンに囲まれて活動していくうちに、楽器の細かな違いを感じ取るための力が育ったということであろうか。
そのことを確認できただけでも、なかなか有意義な一日であった。

ちなみにこの日の合奏は、団長、私、そしてパートリーダーが途中から参加と、見事に三つのメーカーの楽器が揃っていたというのは余談である(笑)