Making TASSANIC WORKS

ある「楽器吹き」の物語

楽器吹き

YEP-842S放浪記 ソロ死闘編

協奏曲の演奏者とそれぞれの曲が決定し、ようやくこのステージの全貌が見えてきた。
その内容は、クラリネットパートで1曲。トロンボーンパートで1曲。そして、私のソロが1曲。
―何だか、物足りなくないか?
そう思ったのは、私だけではなかったようだ―。

またしても飲み会。
司会者が、こんな事を言い出した。
「ソロの曲が足りないなあ。」
どうやら、楽団のメンバーに声を掛けて回っている様子。そして、ある人の前でこう言った。
「1曲お願いできますか?」「いいですよ。」―って、早いな(笑)
その相手は、副団長(女)。彼女はフルート吹きなのだが、演奏者としては間違いなく団内一。
高度な音楽教育を受けていたという噂もある。
―流石は副団長(女)だな…って、ちょっと待て。一緒のステージで、私も演奏するのか?
「プロ並み」vs「素人」…無謀すぎるぞ(笑)
すぐそばにいた私は、正直、動揺してしまった。

さらに、ステージを締める曲が、『リバーダンス』であることが判明。
この曲は協奏曲ではないが、ソプラノサックス、ホルンにソロがある。
そして、全体において打楽器が活躍するという、このステージにふさわしい内容となっているのだが―本気ですか?私がそう思ったのは、以下の理由による。
この曲は、アイルランドの旋律がモチーフとなっている。特徴は、独特の変拍子を持った舞曲によって構成されていること―つまり、演奏する側にとっては非常に困難な曲である。
私は高校時代に演奏したことがあるのだが、当時は慣れるまでに結構な時間を要した。
―今回のステージも、なかなかハードな舞台になりそうだぜ(笑)

ちなみに、演奏会全体の構成は3部構成である。
1部は、打楽器アンサンブルのステージ。
2部は、全日本吹奏楽連盟によって発行された小編成曲のステージ。
3部が、ここまで語ってきた、ソロまたはパートのための協奏曲のステージ。
私の出番は、2部の小編成曲の内1曲、3部のソロ、そしてリバーダンスとなった。

曲が決まったところで、普通であれば練習を重ねていくところ。
しかし、障害は思わぬところにあったのである。
趣味人にとって最大の敵、それは「現実」―。

YEP-842S放浪記 ソロ死闘編

演奏会で、本当にソロを担当することになった私。
さて、どうするか―。

まず、どの曲を吹くのかという問題があった。
私の手元には、フィリップ・スパークの曲が3曲。
『パントマイム』。
前回書いた通り、半ば勢いに任せて買った曲である。
かつての練習の賜物か、それなりには吹けるのだが…本番の舞台で演奏するにはリスクが高すぎる。
『ハーレクイン』。
この曲、難易度も高いが、値段も高い(笑)
ピアノ伴奏版なのだが、5,000円する。
購入には、清水の舞台から…は言い過ぎだが、それなりの覚悟が必要であった。
『Song for Ina(アイナの歌)』
技術的な難易度で言えば、比較的簡単。
その分、基礎的な演奏技術や表現力、さらに言えば音楽性や芸術性が問われる曲である。
この曲は、今回は見送ろうと考えた。その理由は以下の通りである。
個人的には、この曲は、誰か大切な人のために贈る曲であると考える。恋人、あるいは家族といった感じか。
また、自分で数曲演奏できるならばこの曲も良いが、一曲のみだと少々パワー不足かなとも感じられた。

そして、この3曲に共通して言えることだが…聴いてくれるお客さんが理解できるか、と言うのが最大の問題であった。
例えば16分音符が並んでいるフレーズは、聴く側にとっては何がなんだか分からない場合があるのではないか?
実際に、私は大学時代、演奏会に来てくれた友人からこんな事を言われている。
「何だか分からないけれど、すごかったね。」
確かにその友人は吹奏楽関係者ではなかった。また、当時の吹奏楽団の技術的な限界もあっただろう。
しかし、そう思われたままなのは残念ではないか―?
自分に選択の余地があるのなら、やはり、聴いてくれる人にとってわかりやすくて、楽しめるものを準備したい―。

ここで私は、ある曲の事を思い出す。
以前一回だけ聞いて、なかなかいい感じだなと思った曲があることを―。

ゴブ・リチャーズ作曲の『ミッドナイト・ユーフォニアム』。
入手したCDを聞いてみる。―やはり、私の記憶に間違いは無かった。それに、これなら伴奏の負担も軽いはずだ―。
まずは自分でピアノ伴奏版を購入。
―これならば、十分に吹きこなす事ができる。
楽団による購入が承認されたところで、吹奏楽版の楽譜セットを手配する事となった。

曲が決まった事で、私の腹も決まった。
だが、ある女性の登場により、死闘はさらに激化していく―。

YEP-842S放浪記 ソロ死闘編

私の手元に、赤いクリアファイルがある。
ファイルの中身は、ユーフォニアムのソロ楽譜。
赤は、情熱や興奮を表す色。もし私がソロ演奏を披露する機会があるならば、その時はエキサイティングな演奏をしたい―そう思いながら、楽譜用カバンの中にこっそりと(いや、堂々と!?)忍ばせてある。

私が初めてソロの楽譜を購入したのは、大学の吹奏楽団に所属していた時のこと。
当時、ある先輩が楽譜を見せてくれた。その曲が、フィリップ・スパーク作曲の『パントマイム』。
―おお、見事な16分連付。テンポがゆっくりな部分でも、リップスラーが難しそうだ―。
さらに、先輩はこう言った。
「俺は、この曲が世界一難しい曲だと思うんだ。」

だったら、私が吹いてみせる。世界一難しい曲が吹けるなら、この先どんな曲でも吹くことができるようになるだろう―。
当時の私、アホすぎる(笑)…若いって、こういう事なのか?
一週間後、私は自分でその楽譜を入手した。
そして、大学にいる間、日々のウォームアップとして吹き続ける事となる。

ちなみに現在では、少し抑えるようになった。最近は主に『パーティー・ピース』を吹くことにしている…って、何も変わっていない(笑)
この曲も、フィリップ・スパークの作品。パントマイムよりは楽だと思うが…本当に楽なのかは微妙だ。
これぞ「三つ子の魂百まで」というやつか。

さて、舞台を現在の楽団に戻す。
数か月前、ある飲み会での事。一部のメンバーが集まり、何やら話をしている。
どうやら、内容は「イレギュラーコンサート」の企画のことらしい。
イレギュラーコンサートとは、元々はアンサンブルコンテストの団内予選を兼ねた、小規模な演奏会であった。
(「放浪記」の内容で言えば、「ハーレクイン事件」とその後の「対決」)
しかし昨年、規模を拡大。前回の目玉は、「英国式ブラスバンド」の編成によるステージであった。

今年のイレギュラーコンサートの目玉は「ソロまたはパートのための協奏曲ステージ」となるようだ。
私も話に加わってみる。
そのメンバーの中に、副団長(男)と司会者がいた。
副団長はトロンボーン吹き、司会者はクラリネット吹きである。
この2人それぞれのパートが活躍する、トロンボーン協奏曲とクラリネット協奏曲を演奏するとのこと。
―おお、それはすごい。私はのんびりと話を聞いていたのだが…司会者がこう言ってのけた。

Tassanic は、ソロでトリを務めるってことで(笑)」

―おっと!?まあ、飲みの席の話だからな。
その時は、はっきり言ってトリの件は冗談だと思っていたのだ。

数日後の合奏の際、司会者が、私に話しかけてきた。
「Tassanic、何かやってくんない?」
―なんと!?あの話、本気だったのか。

新たなる波乱の舞台が、幕を開ける―。

続く

無題!

久しぶりに面白いと思えるドラマに出会った。
それは、『南極大陸』。
最近のTVドラマはどうもチャラチャラしているものが多いと感じており、あまり見ていなかったのだが。
しかし、この物語はとても骨太な作りだと思うし、役者の演技もしっかりしている。
できれば毎週見たいが、先週は見逃してしまった。何故だ…?

―ああ、「死闘」の後の夜だったな―。

楽団の演奏会から一週間が過ぎた。
まさか私が、一曲だけとはいえ、舞台の上でソロを披露する事になるとはな…。
振り返ってみると、本番に至るまで、本当にいろいろな事があった。
まとめると色々書けそうなので、また物語風に綴ってみようと思う。
関係者の皆様に対する、感謝の意と共に。

『YEP-842S放浪記 ソロ死闘篇』、開幕―。


不思議な夢

先日、こんな夢を見た―。

演奏会本番を終えて、楽屋でくつろいでいる私。
そこへ、誰かがやってきた。どうやら私のソロの舞台だったらしく、その報酬を支払うつもりのようだ。

ドン。
―!?
―目の前に、札束が積まれた。どう見ても新聞紙で誤魔化したような代物じゃない。
しかも、4つ…400万円―!?

…意味がわかりません、などと思った私は、半分起きかけていたのかもしれない(笑)

夢の続き。
どうやら、その人は去ったようだ。
札束の脇に、封筒が置かれているのに気が付いた。開けてみる。
中身は、現金5万円と、手紙だった―。
「自由に使って下さい。 母より」


そこで、目が覚めた。―何だ、この夢?
是非とも夢に詳しい専門家に話を聞いてみたいところだ(笑)

私としては、「夢のお告げ」として解釈してみたい。

・楽器吹きやってると、いいことあるよ(笑)
・母親を大事にしろ。

多分、これがいいまとめ(笑)

YEP-321S放浪記 高校編 機櫚

とりあえず無事に入部した私。
与えられた楽器は、YEP-201 であった。
この楽器は、ヤマハのユーフォニアムの中で最も安いが、初心者にとって扱いやすい楽器である。
特徴は、細管で3本ピストンを備えている事。ちなみに、母校に当時あった中では、最もピストンがスムーズに動く楽器であった(笑)

トロンボーンのスライドポジションをピストンに置き換えるのに慣れてきた頃。定期演奏会の楽譜が配布された。
最初に思った事は…多い、多すぎる(笑)

定期演奏会は3部構成。
第1部は吹奏楽オリジナル中心。
第2部は音楽劇風ステージ(だったかな?)。
第3部はポップスステージであった。

私は中学時代にも吹奏楽部に所属していたが、規模が小さかったため、このような形での演奏会を経験した事がなかった。だから、なおさら多く感じられたのだ。

曲を練習していく。
―何だこの16分音符は!?
―ハイB♭なんて出せるか!!
(…私にも、こんな時代があったのだ(笑))

そしてついに、本番を迎える事になる―。

続く

YEP-321S放浪記 高校編 機櫚

高校の吹奏楽部を見学しに行った私。
そこで、ある先輩からこう話し掛けられた―。

「ユーフォニアムを吹いてみないか?」
「はい。」

―って、トロンボーンはどこへ行った!?
何を思ったか、私は、二つ返事でユーフォニアムを担当する事を決めてしまったのである。
普通に考えると、無謀な選択だと思うのだが…。

3日後、同時に入部した奴がトロンボーンを堂々と吹いていた(笑)
周りには「君は騙されたんだよ」という意見もあったが…私にとっては既にどうでもいい事となっていた。

実は、私を誘った先輩が、テューバからの助っ人である事が判明。高音域はほとんど吹けないとのこと。
結果として、私は入部した時点でパートのトッププレーヤーとなってしまったのである。

何はともあれ、ユーフォニアム人生をスタートさせる事となった私。
2ヶ月後の初舞台まで、練習を重ねていく―。

続く

YEP-321S放浪記 高校編 機櫚

昨日予告した通り、私の高校時代について語ってみる。

「桜舞う城下町」でトップを誇る進学校に入学した私。そんな訳で、私は当初部活に入るつもりは無かった。

入学から数日経った放課後。中学校時代からの友人が、私に話しかけてきた。
「今から吹奏楽部の見学に行くのだが、Tassanic も行かない?」
「入部するかは微妙だが、行って見るか…。」

吹奏楽部の練習場所は4階。階段を登って行くと…懐かしいサウンドが聞こえてきた。
―やはり、血が騒ぐな。
案の定、その段階で入部する気になってしまった私(笑)
友人はパーカッションの所に。私は…トロンボーンはどこだ?

実は私、中学校時代はトロンボーンを吹いていたのだ。入部する場合は、もちろんトロンボーン志望のつもりであった。

先輩発見。しかし、私を待っていたのは、厳しい現実だった。
「今、余っている楽器が無いんだよね。」
―何〜っ!?
つまり、入部してもしばらくは楽器が吹けないという事になる。
困惑する私に、ある先輩が話しかけてきた。

「ユーフォニアムをやってみないか?」

―これが、私にとっての運命的な出会いとなる―。

続く

新企画!

ようやく動き出した『YEP-842S放浪記』。ところが、職場にて突如出張命令が。…PCが無ければ記事投稿できないぜ、という事で中断する予定であった。

だが、あるファンの方から「記事を楽しみにしている」という話があったので、色々考えてみた。

そういえば、携帯からでも投稿できるのだなと。
ただし、いつもの放浪記の分量を携帯キーで打ち込むのは至難の技。ショートストーリー的な何かがあればいいのだが…。

ならば、私の高校時代の事でも書いてみようかと思い立ち、新企画を立ち上げようと思った次第である。

タイトル
『YEP-321S放浪記 高校編』

携帯からの投稿となるため、サラッと書いた仕上がりになると思う。
しかし、私がユーフォニアムに出会ったのは高校の部活であり、ある意味では楽器人生の原点とも言える時期の話でもある。

とりあえず、色々書いてみようと思う。
よろしく。

YEP-842S放浪記 (01)

YEP-842S を購入することになった私。
新しい楽器人生の幕開けである―。

今回購入する楽器は、ウチの指揮者と親交のあるプロ奏者の方に頼んで選定してもらい、直接指揮者の元に送ってもらえるとの事。
話によると、販売店を通さないため、1週間で手元に届くらしい。
―1週間!?私は耳を疑った。
私がかつて YEP-321S を購入した時は、8ヶ月待つことになったのだ。
しかも楽器のランクが低いため、プロ奏者による選定は受けられないとの事。
楽器屋の計らいにより、2台のうちから1台選ぶということはできたが。現在では、買うとしても YEP-621S(太管モデル)以上が主流で、321S はなかなか出ないとの事であった。そのため、長くかかってしまったというのもある。

後に聞いたところによると、この個体を選定した日ははたまたま 842S がいつもよりも多く生産されており、6本の中から1本選んだとのことであった。
―愛されてやがる、天に―。

予定通り、楽器は1週間で指揮者の元に到着し、私のところには…徒歩で直接持ってきた(笑)
指揮者の自宅は、私の住処から徒歩で約3分である。
何はともあれ、無事に楽器を受け取ることとなった。ケースを持ってみる…重い。
YEP-842S と 321S の違いの一つは、「コンペンセイティング・システム」の有無である。
コンペンセイティング・システムとは、低音域の音程を補正するものである。そのための補正管が楽器に搭載されるため、全体の重量が増えるのである。

ケースを開けてみる―正直、目を奪われた―。
321S と並べて置いてみる。見比べていたら…30分が過ぎていた(笑)
見ていて気が付いたが、どうやら「BUZZ ボトムキャップ」と同じ機能が搭載されているようである。
さて、肝心の音の方はどうか。だが、私の住処は勤め先の寮なので、今思いっきり吹いてみるわけにはいかない…次の合奏までお預けである。

ちなみに代金の方は、頭金+分割12回払い(月額3万円!)を認めてもらったため、即座に生活に困窮するという事態は避けられた。まあ、結果として定期預金を使い果たす羽目にはなったが…(笑)

YEP-842S を無事に手にした私。
次回は、いよいよ 842S 片手に合奏に乗り込む―。
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